中国情勢 人口オーナス対策

現代中国経済入門 人口ボーナスから改革ボーナスへ 蔡昉』によると、

  • 中国は2004年にルイスの転換点を超えた。
  • 中国は2010年に人口ボーナスの転換点を迎えた。
  • 日本の従属人口比率は1970年頃に最低となり、その後20年に渡り低水準にとどまったが、1990年代以後急速に高まった。ただし、一人当たりGDPは現在の中国よりはるかに高い。
  • 退職年齢を引き上げて労働参加率を高めようとするときは高年齢層の教育水準が若年層に比べて見劣りしないことが想定されている。こうした想定は先進国では現実的であるかもしれないが、中国では現実的ではない。中国では高齢になればなるほど平均的な教育水準は低くなる。

とある。

補足すると

  1. 大躍進(大量餓死)、1958-1961年(59-62年前)
  2. 文化大革命(インテリ層大量虐殺)、1966-1976年(54-44年前)
  3. 内政問題としての反日洗脳教育、1981-2003年(39-17年前)
  • (注)反日胡錦涛時代に顕著だったが外貨獲得の道具に代わり、習近平の初期にも見られたが、洗脳で脳がやられることがわかってきたので洗脳教育はされなくなってきている。

のように壊滅的なイベントが数度にわたり有ったため、教育どころではなかったと言える。

現在の中国は労働集約的な工業だけでなくいわゆるハイテクもやるようになってきているが、先進国と同じ生産設備を導入し、先進国と同じレシピを手に入れ、とにかく量産にもっていくということを繰り返しているため、原理等を理解していないと思われる例が実に多く観察される。そこへもって二重経済による低コスト人件費という競争力を失いつつあるため労働集約的な工業はインド等へ流出する。第二次産業は現在の水準を保つことも難しいと思われる。

人口も大きく、海外からの食料供給能力に限界が有るため、第一次産業もおろそかにはできない。

一方、第三次産業は新世代によるIT利用もあって徐々に伸びてきている。人口は大きいので、経済格差を是正して潜在需要を開拓することで内需を経済エンジンにするのが当面の打開策である。


(cf.) 日本の場合、何十年もの間ずっと内需依存度が高く(したがって内需依存産業はかなり成熟している)、徐々に貧しくなってきているので拡大は無い。IT利用はまず労働生産性を上げることが目的となるだろう。