補足: Vacuum Polarization (and Zitterbewegung), Polaron, and Polariton.

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最近、経済ネタが続いていたので気分転換に。

 

室温でのド・ブロイ波長、λ=h/(2πmkT)^1/2においてT=300K、をざっと比較してみると

  1. 金属: だいたい数nm(例えば4nm)で原子間距離、平均電子間距離より大きい。したがって室温においてもフェルミ統計に従う。
  2. 半導体(例として電子ドープしたSi、n-Si): だいたい数オングストローム(例えば0.4nm)で原子間距離、平均電子間距離と同じくらい。支配的統計力学はドープした電子の密度による。

ここで半導体をドープした電子密度で二つに大別してみる:

  1. 希釈半導体: 電子の数が少ない。例えば100000個の原子あたり1個。ボルツマン統計に従うとして問題無い。
  2. 高ドープ半導体: 電子の数が多い。例えば3個の原子あたり1個。フェルミ統計を考えたほうがよさげである。ちなみにフェルミオンである電子が二つ、スピンを逆にしてカップリングするようになるとボース統計を考えなくてはならなくなるが、カップリングがあまり強くないので温度が高いとすぐにかく乱されてしまう。したがって極低温でしか通常は発現しない。12年ほど前だったか、高強度レーザーをあててエキシトンポラリトンを、一瞬、BE凝縮させた例も報告されたが。

ここでもう一つ考えてみよう:

  1. そこそこのドープ量の半導体: 電子の数が例えば100-200個の原子あたり1個。ボルツマン統計でよいのか?

ここで二つに場合分けしてみよう:

(a) 電子トラップが浅い場合: ドーピングするためには通常ケミカルドーピングに頼る(価数の違う原子でSiを置換する)。すると電子との間にクーロン引力が働く。しかし、通常はトラップの深さがkTとたいして変わらないので系の温度によって与えられるエネルギーでトラップされても電子は簡単に伝導帯へ上がる。kTより少々深いトラップでも、トラップの状態数が伝導帯の状態数より圧倒的に少ないのでほぼ伝導帯に電子がいることになる:Fermi Levelまたは

 

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ボルツマン統計でよさげである。 

(b) 電子トラップが深い場合: 単にクーロン引力だけでなく、例えば格子変形が有った場合にはどうなるだろう?電子ー格子結合が強くなるだろう。結合力が弱い場合はボルツマン統計でよさげだが、だんだん強くしていくとどうだろう?例えば、電子ー格子結合によって決まるド・ブロイ波長に代わる電子の動きやすさを示すサイズがちょうど重なり合うような微妙なところではどうなるだろう?